Monday 16 February 2015

銃撃事件が起きたフランス社会とデンマーク社会の共通点と相違点

以下,L'OBSのAttentats de Paris et Copenhague : les mêmes racines de la terreurの抄訳です.L'OBSの取材に応じたのは,コペンハーゲン大学のCentre for the Study of Equality and Multiculturalism (CESEM)の研究者で政治哲学者で経済哲学者のXavier Landesさんです.(1点目から5点目が共通点,6点目からは相違点です.)
  1. デンマークの法体系には,冒涜罪というものが規定されているが1938年以降,その罪で訴追された者はいない.フランスとデンマークは,他の国に比べ,特に表現の自由が尊重されている.それでも,2005年にLars Vilksさんの風刺画が"Jyllands-Posten"に掲載されて以降,デンマーク人たちは,同様の風刺画の公開に対し必ずしも諸手を挙げて賛成はしていない.
  2. デンマークのカートゥーニストの中には,Lars Vilksさんの他にも"Jyllands-Posten"のKurt Westergaardさんのように,すでに襲撃の標的となった人がいる. (Westergaardさんは,2010年,自宅に斧を持った暴漢が押し入って襲撃されそうになったが,暴漢はその場で警官によって取り押さえられた.)
  3. デンマークは,小国ながら中東における西側諸国の軍事介入に積極的に参加しており,国自体がテロの標的になっている.(数年前に,コペンハーゲン地下鉄の最大の駅でテロの未遂事件があった.)
  4. 今日のデンマークとフランスの社会は,移民にとって住み易い環境ではない.デンマークは,1960年代まで単一民族国家だったが,それ以降,移民によってその状況は変化.
  5. デンマークは,人口比率から云うと最も多くの戦闘員をシリアに供給している国.フランスからも多くの若者が戦闘に参加する為にシリアやイラクへ向け出国している.
  6. ユダヤ人差別は,フランスでは昔からある問題だが,デンマークにはほとんど存在しない.第二次世界大戦中,デンマークはドイツの保護国だったが,ユダヤ人たちはデンマーク人たちに助けられ,強制移住を免れることができた.
  7. フランスは世俗国家だが,デンマークは世俗国家でありつつも,伝統的な国家宗教であるルター派キリスト教(プロテスタント)の信仰も国民の間に根付いている.国民は教会税を払っており,教会はその交付を受けている.本来,世俗国家であれば,こうした仕組みは無いはず.そうした中,コペンハーゲンにおけるモスク建設の許可がなかなか下りないことが問題になっているが,イスラム教徒の中には不満を持つものも出て来る.
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