Saturday 1 December 2012

コロラド州ロングモント市,住民投票で水圧破砕によるシェールガス採掘に"No"

フランスの新聞Le Mondeの11月29日付電子版の記事"Graine de révolte au pays du gaz de schiste"によると,アメリカ大統領選挙が行われた11月6日には,アメリカ各地で住民投票が行われましたが,コロラド州ロングモント市(Longmont,人口8万)では,水圧破砕によるシェールガス採掘の禁止が住民投票にかけられました.結果は,59%対41%で,禁止と決定.

水圧破砕は,現在,シェールガスを採掘することができる唯一の方法ですが,岩盤を破砕するために高圧で地中に注入される多量に水に混ぜられた化学物質が地下水脈を汚染し,また,空中に多量のメタンガスをまき散らすため,フランスなどではすでに禁止されています.

ロングモント市では,複数のガス会社が,50万ドルの費用をかけてキャンペーンを行い,住民たちに対し,雇用の創出などの効果を掲げ,シェールガス採掘の禁止を住民投票にかけないように説得に務めましたが,彼らの目論みは失敗に終りました.

この結果を受けて,ガス会社は,取得済みの採掘権が侵害されるとして,法的な手続きをとる構えを見せています.また,ジョン・ヒッケンルーパー(John Hickenlooper)コロラド州知事も,採掘を管理する権限を持つのは州であり,ロングモント市を訴えると言っています.なお,同知事は,2010年の州知事選挙の際,ガス会社から76441ドルの寄付を受け取っていることが知られています.

ロングモント市における今回の住民投票は,2011年から始まった,シェールガス採掘の反対派の市民たちの活動の結果でした. 発端は,市内の中学校と水浴客で賑わう湖のそばで採掘が計画されたため,水圧破砕によるシェールガス採掘の環境への影響についてコロラド大学で研究が行われ,その結果,採掘現場から半径0.5マイル(805メートル)以内の住民は,基準値の5倍もの有害物質にさらされることが判明したことでした.その結果が,公開されるやいなや,たちまち8200もの署名が集まり,住民投票にかけられることになったのです.ロングモント市の住民投票の結果を受け,今や,雨後のタケノコのように採掘施設が建設されつつある近隣の地方自治体でも同様の動きが起こり始めています.

ところで,シェールガス採掘に対する反対の動きは,ロングモントに始まった訳ではありません.すでに,反対のキャンペーンのための映像が制作されており,例えば,Josh Foxは,ドキュメンタリー映画"GASLAND"のなかで,ペンシルバニア州ディモックにおいて,ガスの採掘が開始された後,水道から出る水が炎に包まれる様子を紹介しています.

また,マット・デイモンが主人公を演じる映画"Promised Land"も水圧破砕法の問題を描いています.



環境保護団体のSierra Clubなどは,2020年には,エネルギーにおける輸入依存からの脱却を政策目標に掲げるオバマ政権に対し,水圧破砕の実施について,より厳格な制限を設けるよう促して行くと言っています.

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