Saturday 26 October 2013

LNER A4形蒸気機関車が牽引する列車の今後の運行予定

今年は,マラード号が蒸気機関車としての世界最高記録を樹立してから75周年にあたるため,世界に現存する同形機6両が英国のヨークにある国立鉄道博物館に集結しました.そして,本日10月26日から来月8日迄,大ホール内の転車台の周りに勢揃いして訪れる鉄道ファンの目を楽しませてくれます.今回,集結した6両とは以下のとおり.(なお,来年2月頃迄,6両同時に見る機会があるようです.詳しくは,国立鉄道博物館のサイトでご確認ください.また,UK Railtoursも特別なツアーを企画しているようです.)*1)

LNER番号 国鉄番号 愛称 所有 状態
4464 60019 Bittern 個人所有(UK) 動態保存
4468 60022 Mallard 国立鉄道博物館(UK) 静態保存
4488 60009 Union of South Africa 個人所有(UK) 動態保存
4489 60010 Dominion of Canada カナダ鉄道博物館(カナダ,モントレオール) 静態保存
4496 60008 Dwight D. Eisenhower 国立鉄道博物館(米国,ウィスコンシン州,Green Bay) 静態保存
4498 60007 Sir Nigel Gresley The Sir Nigel Gresley Locomotive Preservation Trust Ltd(UK) 動態保存
(表中のデータは,WikipediaのLNER Class A4およびRail.co.ukのこちらのページに基づいています.)

話しを運行スケジュールへ進める前に,簡単にA4形の諸元を紹介しますと,UIC表記では2'C1' h3.つまり3気筒のパシフィックエンジンです.動輪直径は2032 mmとドイツの01や03などの急行用機の2000 mmよりわずかに大きく,最高速度は140 km/h.そして,1938年7月3日にマラード号によって樹立された世界最高記録は126 mph(202.8 km/h)です.この記録は,公式にはドイツの05 002(2'C1' h3,動輪直径は2300 mm)による先行記録の200.4 km/hを上回りますが,マラード号が当該の速度に達したのは下り勾配だったため,それを理由にその世界最高記録を疑問視する向きもいます.それでも牽引していた列車の重量では,05 002の197トンに比べてマラード号は240トンとハンディがあったとマラード号側は主張します.差異が微妙な数値のためにこうした議論がなされると思うのですが,見方によっては,どこか微笑ましいものを感じてしまいます.なお,元英国放送局のプレゼンターStan LaundonさんのサイトにはA4形の素晴らしい写真がたくさん掲載されています.ファンの方には一読をお薦めします.

さて,このように今年,英国の保存鉄道シーンにおいて話題の中心となったA4形の今後の運行日程から今年末まで確定しているものを紹介します.(すべてメイン・ラインの運行です.なお,牽引機が変更される場合があります.塗装は,Union of South Africaが緑,BitternおよびSir Nigel Gresleyがマラードと同じ青です.)

まず,Steam Dreamsが企画するツアーで確定しているものは, 以下の1本ですが,スケジュール表をみると,TBC(要確認)と記載されたものが多く有るので,おそらくほかにも何本か有ると思われます.日本からの予約は,スケジュール表において希望する列車が記載されている列の右端の"Select"ボタンを押して,案内に従って必要事項を入力します.

  • ヨークのクリスマスマーケットを訪ねるツアー(日帰り)
    運行日:12月19日(木)
    運行経路:ロンドンからヨーク往復
    牽引機:60019(Bittern)

下は,Steam Dreamsの2013年冬用のオンラインパンフレットです.来年の運行予定も含まれています.


こちらのパンフレットは,2014年以降のツアーに関するものです.


次に,Railway Touring Companyが企画するツアーですが,主にUnion of South Africaが牽引するようです.日本からの予約は,リンク先の各ツアーのページの下にある"Book this tour online"の下の"CLICK HERE"ボタンをクリックして,表示される書式に必要事項を入力します.以下はいずれも日帰りツアーですが,来年の4月26日から5月4日にかけて開催される列車による周遊旅行"Great Britain VII"では,5月1日のエディンバラ,インヴァーネス間,そして3日のアヴァーディーンからエディンバラ間においてUnion of South Africaの牽引が予定されています.

  • The Tynesider
    運行日:11月23日(土)
    運行経路:ロンドンからニューキャッスル往復
    牽引機:60019(Union of South Africa)
  • The Christmas White Rose
    運行日:11月30日(土)
    運行経路:ケンブリッジからヨーク往復
    牽引機:60019(Union of South Africa)
  • The Lindum Fayr
    運行日:12月7日(土)
    運行経路:ロンドンからリンカーン往復
    牽引機:60019(Union of South Africa)
  • The York Yuletide Express
    運行日:12月12日(木)
    運行経路:ノーウィッチからヨーク往復
    牽引機:60019(Union of South Africa)
  • The Christmas White Rose
    運行日:12月14日(土)
    運行経路:ロンドンからヨーク往復
    牽引機:60019(Union of South Africa)
  • The Christmas Yorkshireman
    運行日:12月21日(土)
    運行経路:ロンドンからヨーク往復
    牽引機:60019(Union of South Africa)

下は,Railway Touringのオンラインパンプレッとです.今年の運行予定に関するものです.


話は,A4から離れますが,ハリーポッターの映画で有名になったLoch Nan Uamhの入り江の鉄道橋を走る蒸機牽引列車についての情報は,West Coast Railways のこちらのページをご覧下さい.

Let's enjoy great steam tours !




*1) 宿泊予約は,地元の経済を助ける意味で,できれば地元観光局が運営するサイトVisit York.orgから行うことをお薦め致します.(Booking.comやHotels.com,あるいはExpedia.comなどよりかなり安く宿泊できる場合もあります.英国の他の観光地についても同様です.visit xxxxxx.orgのxxxxxxの部分に宿泊希望地を入れて検索すると表示されます.)

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